「あれもこれも入れたい」で要望を並べていったら、気づけば予算を大きく超えていた。間取り作りでは本当によくある話です。実はこの問題、多くの場合「優先順位を決めずに間取りを描き始めてしまうこと」が原因です。この記事では、間取りの要望に優先順位をつける具体的な方法と、予算オーバーになったときに何から削ればいいのかを、設計から現場管理まで手がける1級建築士の立場から、できるだけ分かりやすく解説します。
そもそも、その間取りは誰が描いていますか?
営業マンが描く間取りと、建築士が描く間取りは何が違うのですか?
住宅会社によっては、間取りを描いているのが建築士ではなく営業担当というケースが少なくありません。営業担当は契約や資金計画の知識には詳しくても、構造や納まり(部材と部材がどう取り合うか)まで踏み込んで間取りを描けるとは限りません。
建築士が描く間取りは、部屋の配置だけでなく、壁の中の構造や配管、窓やドアの納まりまで想定して作られています。見た目は同じ間取り図でも、その奥にある検討の深さがまったく違います。「この間取り図は誰が描いたのですか」と一度聞いてみると、その会社の設計体制が見えてきます。

優先順位を決めないと、なぜ間取りは失敗するのか
間取りの要望に優先順位をつける方法はありますか?
家づくりの打ち合わせでは、「収納を増やしたい」「対面キッチンにしたい」「書斎が欲しい」など、要望はいくらでも出てきます。すべてを同じ熱量で語ってしまうと、後から何を削ればいいか分からなくなり、結果的に一番大事なものまで削る羽目になります。そこでおすすめしているのが、要望を3段階に分ける方法です。

- ①必ず叶えたいこと:これが無いと生活が成り立たない、譲れない条件(例:家事動線、子どもの生活音対策)
- ②できれば叶えたいこと:あると暮らしが快適になる条件(例:対面キッチン、パントリー)
- ③余裕があれば叶えたいこと:無くても困らないが、あると嬉しい条件(例:書斎、造作家具)
打ち合わせの最初にこの3段階を紙に書き出しておくだけで、後の判断が驚くほど楽になります。「これは②だったよね」と、感情ではなく基準で話し合えるようになるからです。
▶ 建築士がやらない間取り5選、YouTubeでも紹介しています。

予算オーバーになったとき、何から削ればいいか
予算オーバーになったら、間取りのどこを削ればいいですか?
間取りを詰めていくと、多くの場合で一度は予算オーバーに直面します。ここで大事なのは、削る順番を間違えないことです。
構造や耐震性、断熱・気密といった「暮らしの安全と快適さを支える性能」は、後から変更するのが難しく、変更すると住み心地に直結します。まず削るべきは、③の「余裕があれば」に分類した部分、次に②の「できれば」の中でも優先度の低いものです。①に手をつけるのは最後の最後、できれば避けたい選択です。
優先順位を最初に決めていれば、この削る作業は迷わずに進められます。逆に優先順位を決めずに進めた場合、予算オーバーが分かった瞬間にすべての要望が同じ重さに見えてしまい、話し合いが長引きやすくなります。
高浜市・西三河で間取りを考えるときに
高浜市・碧南市・刈谷市をはじめ西三河エリアと半田市、大府市、東浦町をはじめとした知多エリアは、夏の暑さと湿度が厳しい地域です。間取りの優先順位を考えるときは、見た目の希望だけでなく「風の強さ」「西日の入り方」「湿度の高さ」といった、この地域ならではの条件も①や②に組み込んでおくことをおすすめします。デザインだけを優先して窓の配置を決めると、住んでから夏の暑さに悩まされるケースが少なくありません。
契約前に、これを聞いてください
間取りは、誰が描いているかで奥行きが変わります。そして優先順位を3段階に分けておくことで、予算オーバーになったときも迷わず判断できます。
- 「この間取りは、どなたが描いていますか」と聞く。営業担当か建築士かで、検討の深さが変わる
- 「要望に優先順位をつける進め方はありますか」と聞く。最初から一緒に整理してくれる会社かを見る
- 「予算オーバーになったとき、どこから削るのが一般的ですか」と聞く。答えに一貫した基準があるかを確認する
まとめ
「あれもこれも」で間取りを詰めていくと、予算オーバーは避けられません。大事なのは、間取りを誰が描いているかを確認すること、そして要望を「必ず」「できれば」「余裕があれば」の3段階に分けて優先順位を決めておくことです。優先順位さえ決まっていれば、予算オーバーになっても迷わず判断できます。
間取りの優先順位づけから、実際に1級建築士が一緒に整理するご相談も承っています。要望が漠然としたままでも大丈夫です。
■ この記事を書いた人
前田 浩貴(まえだ ひろたか) 有限会社 IN THE HOME 代表 / 1級建築士・1級建築施工管理技士・2級土木施工管理技士
愛知県高浜市で注文住宅の設計・施工を手がける。営業任せにせず、建築士である自身がヒアリングから設計、現場管理までを一貫して担当。設計した人間がそのまま現場を見るため、図面通りに建てられることを何より大切にしている。規格住宅ではなく、一邸ごとに暮らしに合わせて一から設計するスタイル。YouTube「1級建築士 まえちゃんの家づくり教室」で家づくりの本音を発信中。
施工エリア:高浜市・碧南市・刈谷市・安城市・西尾市・知立市・岡崎市・東海市・半田市・大府市・東浦町・常滑市ほか西三河/知多エリア
家づくりの本音や現場の様子は、YouTube・Instagramでも発信しています。
▶ YouTube「1級建築士 まえちゃんの家づくり教室」 https://www.youtube.com/@inthehome
▶ Instagram @in.the.home(会社アカウント) https://www.instagram.com/in.the.home/
▶ Instagram まえちゃん|家づくりを丸ごとサポートする建築士(個人アカウント) https://www.instagram.com/maechan.no.iezukuri/
関連記事
- 平屋はなぜ高い?高浜市で建てる前に知っておきたい、必要な土地の広さと選び方 https://inthehome.jp/blog/hiraya-takai-riyuu/
- 見積書の「一式」は危険信号|1級建築士が教える読み方と、別途工事に潜む罠 https://inthehome.jp/blog/mitsumori-isshiki-uchiwake/
- 高浜市で失敗しない工務店・住宅会社の選び方 https://inthehome.jp/blog/takahama-koumuten-erabikata/