「この間取りで進めて、本当に後悔しないだろうか」。打ち合わせが進むほど、そんな不安がよぎることはありませんか。実は間取りの後悔には、繰り返し出てくる共通のパターンがあります。この記事では、これまでにお受けしたZOOM個別相談を振り返り、実際に多かった後悔のポイントと、それぞれを設計段階で防ぐ方法を、設計から現場管理まで手がける1級建築士の立場から解説します。

実際の相談で、間取りの後悔につながりやすかったポイントは?
間取りの後悔には、よくあるパターンがあるのですか?
家づくりの個別相談を長く続けていると、「この後悔、前にも聞いたな」と感じる場面が繰り返し出てきます。2026年5月から8月にお受けしたZOOM個別相談18件を振り返って集計したところ、特に多かったのが次の3つでした。

いずれも、打ち合わせの早い段階で意識していれば防げた後悔です。1つずつ、何が起きているのか、どう防げばいいのかを見ていきます。
1位:窓の方角を「なんとなく」で決めてしまう
窓の後悔は、間取りのどの段階で防げますか?
「明るい家にしたい」という要望から、窓を増やす・大きくする方向で間取りを決めてしまい、住み始めてから「冬、階段のあたりが妙に寒い」「夏、夕方になると西側の部屋だけ暑い」という声が上がるケースです。窓は数を増やすほど良いわけではなく、方角ごとに役割が違います。南面は日射を取り込む窓、北面・西面は熱の出入りを抑えたい窓、というように、方角で優先順位を変えて計画する必要があります。
この他に、どうしても方角に合わせて窓を配置できない場合もあります。そんな時には窓ガラスでも工夫が出来ます。YouTubeで解説していますので、窓計画で悩んでいる方はあわせて読んでみてください。

2位:デザインを優先して、構造の「直下率」を犠牲にする
直下率とは何ですか?なぜ間取りの後悔につながるのですか?
直下率とは、2階の柱や壁の位置に対して、1階の同じ位置に柱や壁がどれだけあるかを示す割合です。2階の柱が1階の柱の真上に乗っていれば、その荷重はまっすぐ下に伝わります。逆に、2階の柱の真下に1階の柱がなければ、その荷重は梁を通して離れた柱まで無理に伝えることになり、構造的に不利になります。

「おしゃれな凸凹のある外観にしたい」「1階にガレージや大きな開口部を作りたい」といった見た目を優先した要望は、しばしば1階の柱を抜くことにつながり、直下率を下げる方向に働きます。法律上、直下率そのものに数値基準があるわけではありませんが、熊本地震で被害が大きかった木造住宅を調査した報告では、倒壊した建物に直下率の低いものが目立ったことが指摘されています。弊社では、この点を踏まえて直下率60%以上を目安に設計する方針にしています(法的な基準ではなく、弊社独自の設計方針です)。
デザイン性を優先すること自体は悪いことではありません。大事なのは、その見た目の裏側で構造がどうなっているかを、建築士が説明できるかどうかです。「この形、おしゃれでしょう」で終わらせず、「この形にすると、柱の位置はこうなります」まで説明を受けられるかどうかを確認してください。
柱直下率のほかにも構造ルールについて分かりやすくYouTubeで解説しています

3位:収納は「多めに」では足りない
収納の後悔を防ぐには、何をすればいいですか?
「収納は多めに取っておきますね」という会話だけで収納量を決めてしまい、住み始めてから「思ったより入らない」という後悔につながるケースです。「多め」という言葉には具体的な寸法が伴っていないため、実際の持ち物の量と一致するとは限りません。
「多め」は誰にとっての多めか分からない:収納の広さの感覚は人によって大きく違います。打ち合わせで「多めに」という言葉が出てきたら、それは具体的な計画ではなく感覚の話にとどまっているサインです。
収納の後悔を防ぐ方法はシンプルです。今持っているものを、縦・横・高さの寸法まで測って書き出すこと。そして、入れたい収納ボックスや家具の寸法も先に測っておくことです。この一手間をかけるだけで、収納は「感覚」ではなく「計画」になります。
見落とされがちだけど効く:バルコニー・屋上の後悔
ランキングの3つほど多くはありませんが、相談の中で実際に出てきた声として、バルコニーや屋上に関する後悔もあります。「憧れで付けたバルコニーを、結局ほとんど使っていない」「屋上は眺めが良いと思って作ったが、防水のメンテナンス費用と雨漏りのリスクを考えていなかった」というものです。バルコニーや屋上は、便利さだけでなく、メンテナンス費用とリスクもセットで検討する必要がある部位です。
知多・西三河で間取りを考えるときに
高浜市をはじめ西三河エリア・知多エリアは、区画が限られた市街地の土地が多いエリアです。土地の広さに余裕がない分、デザイン性・収納量・構造のバランスをどこで取るかというせめぎ合いが起きやすくなります(限られた敷地で広さを感じさせる工夫は「30坪でも広く感じる間取りにする方法」の記事でも解説しています。

だからこそ、要望に優先順位をつけ、構造と収納の裏付けを最初から確認しながら間取りを進めることが、この地域では特に大切になります。
契約前に、これを聞いてください
間取りの後悔には共通のパターンがあります。窓の方角、直下率、収納の寸法。この3つを打ち合わせの早い段階で意識するだけで、多くの後悔は防げます。
- 「この窓、方角ごとにどんな役割で計画していますか」と聞く。「明るいから」だけで終わる説明でないかを見る
- 「この間取りの直下率は、どれくらいですか」と聞く。答えに具体的な考え方があるかを確認する
- 「収納の広さは、何を基準に決めていますか」と聞く。「多めに」で終わらず、寸法の話ができるかを見る
まとめ
間取りの後悔には、実は共通のパターンがあります。窓の方角を「なんとなく」で決めない、デザインを優先して直下率を犠牲にしない、収納は「多めに」ではなく寸法を測って決める。この3つを打ち合わせの早い段階で意識するだけで、住み始めてからの後悔の多くは防げます。
間取りの要望を整理する段階からのご相談も承っています。「これは後悔につながらないか」という不安があれば、契約前の段階でお気軽にご相談ください。
■ この記事を書いた人
前田 浩貴(まえだ ひろたか) 有限会社 IN THE HOME 代表 / 1級建築士・1級建築施工管理技士・2級土木施工管理技士
愛知県高浜市で注文住宅の設計・施工を手がける。営業任せにせず、建築士である自身がヒアリングから設計、現場管理までを一貫して担当。設計した人間がそのまま現場を見るため、図面通りに建てられることを何より大切にしている。 YouTube「1級建築士 まえちゃんの家づくり教室」で家づくりの本音を発信中。
施工エリア:高浜市・碧南市・刈谷市・安城市・西尾市・知立市・岡崎市・常滑市・半田市・大府市・東浦町ほか西三河/知多エリア
家づくりの本音や現場の様子は、YouTube・Instagram・noteでも発信しています。
▶ YouTube「1級建築士 まえちゃんの家づくり教室」 https://www.youtube.com/@inthehome
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