「地盤改良費はいくらですか」と聞いても、契約前にはっきりした金額を教えてもらえない。そんな経験をした方は少なくないはずです。はぐらかされているように感じて不安になるかもしれませんが、これにはきちんとした理由があります。この記事では、地盤改良費がなぜ契約前に確定しないのか、そして契約前にどこまで確認しておけば安心できるのかを、1級建築士の立場から解説します。

地盤改良費は、この順番で初めて金額が決まる

[図1:地盤改良費が確定するまでの4つの段階]
地盤改良が必要かどうか、必要な場合にどんな工法になるかは、建物の配置や重さによって変わります。そのため地盤調査は、間取りが決まった段階で行うのが一般的です。契約の時点ではまだ間取りが確定していないことが多く、この順番上、地盤改良費もまだ確定していないのです。どんな土地で地盤改良が必要になりやすいかについては、「地盤改良は隣の家を見ても分からない」でも詳しく解説しています。
地盤改良は必要なのか?YouTubeでも紹介しています。 ▶

地盤調査の方法と、改良工法ごとの費用の目安
地盤調査は、スウェーデン式サウンディング試験(現在の正式名称はスクリューウェイト貫入試験)という方法で行うのが一般的です。敷地の四隅と中央付近にスクリューポイントを差し込み、一定の深さごとの硬さを調べることで、地耐力を確認します。

[図2:代表的な3つの地盤改良工法と費用の目安]
地盤改良が必要だと分かった場合の工法は、大きく3つに分かれます。硬い地盤が浅い位置にある場合は表層改良、浅い位置にない場合は柱状改良、より深い位置まで届かせる必要がある場合は鋼管杭が使われます。一般的には表層改良が最も費用を抑えやすく、柱状改良・鋼管杭と進むにつれて費用が上がる傾向にありますが、敷地条件や地盤調査の結果によって大きく変わるため、あくまで目安として捉えてください。
そして、一般的な木造住宅であれば地盤の支持層まで到達するような杭を打設する工事はしません。
愛知県の西三河、知多地区の支持層は20mぐらい深い地中なので、そこまでの工事は現実的ではないのです。通常の考え方は建物は地盤の表層に浮いているような地盤改良をします。詳しくはYouTubeで話していますのでご覧ください

契約前に、上限の目安だけでも聞いておく
金額を契約前に確定させる必要はありませんが、上限の目安を聞いておくことは可能です。「このエリア・この規模の建物であれば、最大でもこのくらい」という目安を、数字で答えられる会社かどうかを確認してください。数字で答えられないまま契約を進めてしまうと、地盤調査の結果が出た後に想定外の金額に驚くことになりかねません。見積書の中での地盤改良費の扱い方については、「見積書の「一式」は危険信号」でも詳しく解説しています。
地盤改良費は、坪単価の中に含まれていないことがほとんどです。「坪単価の計算方法は、会社によって違います」でも解説したとおり、坪単価だけを見て総額を想像すると、地盤改良費の分だけ想定と差が出ることがあります。
契約前に、これを確認してください

[図3:契約前に地盤改良費について確認したいポイント]
地盤改良費は、間取りが固まり地盤調査をして初めて分かる金額です。契約前に確定させることはできませんが、上限の目安を聞いておくことはできます。
- 「地盤調査はいつ行いますか」と聞く。間取りが固まる前か後かで、金額の確定時期が変わる
- 「上限の目安はいくらですか」と聞く。数字で答えられる会社かどうかを見る
- 「近隣での施工実績はありますか」と聞く。ただし、エリアだけでは判断できないことには注意する
まとめ
地盤改良費は、間取りが決まり地盤調査をして初めて分かる金額であり、契約前の段階で確定させることは基本的にできません。ただし、上限の目安を聞いておくことは可能です。地盤調査の時期と、上限の目安を数字で答えられるかどうかを、契約前にぜひ確認してみてください。
地盤改良費の目安について、具体的なご相談も承っています。
■ この記事を書いた人
前田 浩貴(まえだ ひろたか) 有限会社 IN THE HOME 代表 / 1級建築士・1級建築施工管理技士・2級土木施工管理技士
愛知県高浜市で注文住宅の設計・施工を手がける。営業任せにせず、建築士である自身がヒアリングから設計、現場管理までを一貫して担当。設計した人間がそのまま現場を見るため、図面通りに建てられることを何より大切にしている。 YouTube「1級建築士 まえちゃんの家づくり教室」で家づくりの本音を発信中。
施工エリア:高浜市・碧南市・刈谷市・安城市・西尾市・知立市・岡崎市・常滑市・半田市・大府市・東浦町ほか西三河/知多エリア
家づくりの本音や現場の様子は、YouTube・Instagram・noteでも発信しています。
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