「隣の家は地盤改良していたから、うちの土地もきっと必要だろう」。実はこの考え方には根拠がありません。地盤改良が必要かどうかは、エリアだけでは決まらず、その土地がもともと何だったのか、そして建てる建物の形状や重量によって変わります。この記事では、地盤改良が必要になる土地の特徴、西三河・知多での実際の事例、そして盛土をするときに知っておくべき注意点を、これまで多くの土地の地盤に向き合ってきた1級建築士の立場から解説します。
そもそも、地盤改良が必要になる割合はどれくらいか
実際にどれくらいの割合で地盤改良が必要になりますか?
弊社の施工実績では、全体のおよそ2〜3割程度で地盤改良が必要になっています。ただし、この数字はあくまで実績としての目安であり、「このエリアだから何割」という単純な話ではありません。必要かどうかは、土地の履歴と、建てる建物の形状・重量・地耐力から個別に判断するものです。
地盤の強さは、エリアより「土地の履歴」で決まる
どんな土地だと地盤改良が必要になりやすいですか?
同じ地域の中でも、その土地が元々何だったのかによって、地盤改良の要否ははっきり分かれます。

- 工場跡地を分譲した土地:工場の基礎は1m以上あることが多く、それを撤去した後の表層は緩んでいるため、改良が必要になりやすくなります
- 擁壁のある造成地:擁壁の壁から2mほど掘削して造成しているケースが多く、その部分は埋め戻した土になるため地盤が弱くなります
- 元が池・田んぼだった土地:表層に埋め戻した土が入っているため、その部分の地盤が弱くなります
「元に何があったか」を確認することが、地盤の強さを知る一番の手がかりです。これは古い地図や登記情報である程度たどることができます。
西三河・知多で実際に地盤改良が必要になった事例
西三河・知多エリアで、実際に地盤改良が必要になった場所はありますか?
エリアごとの一般的な傾向ではなく、実際に弊社が施工した中で地盤改良が必要になった事例を紹介します。

- 安城市桜井周辺:地下水位が高い地盤があり、改良が必要になりました
- 刈谷市原崎町:敷地の一部に地下水が通る弱い場所があり、改良が必要になりました
- 西尾市徳次町:矢作川に近く砂質土だったため、地盤改良が必要になりました
このあたりの矢作川付近は砂質土が多く、地盤が弱い傾向にあります。地下水位が高い場合は、地盤改良に加えて液状化対策が同時に必要になることもあります。
一方、知多地区は西三河と比べると比較的地盤が強い傾向にあります。ただし、知多地区でも元が池や田んぼだった土地は表層が弱くなるため、油断はできません。また、知多・三河のどちらでも、海の近くは地盤が弱い傾向があります。これは知多地区に限った話ではなく、どの地域でも共通して言えることです。
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「隣の家は地盤改良した」は判断材料になりません
弊社が実際に経験した例として、3件隣の家が地盤改良をしていたのに、弊社で建てた家は地盤改良が不要だったケースがあります。同じ地域、近い場所であっても、地盤は土地ごとに違いますし、必要かどうかは建物の形状・重量・地耐力とのバランスで決まります。「隣が改良したから」「このあたりは弱いと聞いたから」だけで判断しないことが大切です。
造成・盛土をするときに知っておきたいこと
土地を造成するとき、注意することはありますか?
ここは意外と知られていない、しかし重要なポイントです。土を40cm以上入れる造成は開発許可が必要になり、同時に地盤改良も必要になります。
理由は、基礎を掘削して据える面(床付け)が、通常は地盤から40cm程度の深さにあるためです。それ以上の土を新たに入れてしまうと、しっかり締まっていない弱い土の上に基礎を造ることになり、地盤沈下が起こる可能性があるからです。元の地盤が良好であっても、盛土をすれば改良が必要になります。
特に注意したいのが旗竿敷地です。敷地が道路より奥にある旗竿敷地では、排水のための水勾配をつける目的で地盤を上げる必要があるケースがあります。既存の地盤より40cm以上上げる場合は、地盤の安全性を確認する必要があります。
建て替えのときも同様の注意が必要です。既存の建物の基礎を掘り起こすため、基礎より下の地盤自体は強くても、表層から60cmほどは緩んでいることが多くなります。この場合は、砕石を入れてしっかり突き固めることで地盤を強くできるため、大きくコストが上がることはありませんが、費用が0円になるわけではありません。
契約前に、これを聞いてください
地盤改良の要否は、エリアではなく土地の履歴と建物の条件で決まります。隣の家の状況は判断材料になりません。そして、造成や建て替えで土を盛る場合は、それ自体が地盤改良の判断に関わってきます。
- 「この土地は元々何だったか、分かりますか」と聞く。工場跡地・田んぼ・造成地かどうかで傾向が変わる
- 「地盤改良の判断は何を基準にしていますか」と聞く。「このエリアは弱いので」だけで済ませる会社は要注意
- 「造成や盛土をする場合、開発許可と地盤改良の関係を教えてください」と聞く。40cmという基準を知っているかで理解度が分かる
まとめ
地盤改良が必要かどうかは、住んでいるエリアだけでは決まりません。工場跡地・擁壁のある造成地・元が池や田んぼだった土地かどうか、そして建物の形状・重量・地耐力のバランスで個別に判断するものです。「隣の家が改良したから」という理由は判断材料になりません。また、40cm以上の盛土は開発許可と地盤改良の両方に関わるため、造成や建て替えを検討している場合は特に注意してください。
土地の履歴が分からない場合も、調べる方法はあります。契約前の段階からご相談ください。
■ この記事を書いた人
前田 浩貴(まえだ ひろたか) 有限会社 IN THE HOME 代表 / 1級建築士・1級建築施工管理技士・2級土木施工管理技士
愛知県高浜市で注文住宅の設計・施工を手がける。営業任せにせず、建築士である自身がヒアリングから設計、現場管理までを一貫して担当。設計した人間がそのまま現場を見るため、図面通りに建てられることを何より大切にしている。規格住宅ではなく、一邸ごとに暮らしに合わせて一から設計するスタイル。YouTube「1級建築士 まえちゃんの家づくり教室」で家づくりの本音を発信中。
施工エリア:高浜市・碧南市・刈谷市・安城市・西尾市・知立市・岡崎市・常滑市・半田市・大府市・東浦町ほか西三河/知多エリア
家づくりの本音や現場の様子は、YouTube・Instagram・noteでも発信しています。
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