「うちは高気密住宅です」。この説明、実際に測定した数値を見せてもらったことはありますか。気密性能を表すC値には、実は国の基準がありません。だからこそ、測定しているかどうかで会社の姿勢がはっきり分かれます。この記事では、C値に基準がない理由、測定していない会社で実際に何が起きるのか、そして契約前に何を確認すればいいのかを、全棟を第三者機関で気密測定している1級建築士の立場から解説します。
そもそも、なぜC値には国の基準がないのか
C値(相当隙間面積)は、建物の隙間の合計面積を延床面積で割った数値で、小さいほど気密性能が高いことを示します。1999年の次世代省エネ基準では、地域ごとにC値の基準(寒冷地で2.0以下、その他で5.0以下)が定められていましたが、2009年の法改正でこの基準は削除され、それ以来ずっと基準がない状態が続いています。
つまり、気密性能は今の建築基準法や省エネ基準の中で、義務としてはどこにも定められていません。 断熱等級のように「最低ここまで」という下限が無いので、測定するかどうか、公開するかどうかは、完全に会社の姿勢次第になります。
「高気密です」は、測定していなければ根拠がない
気密測定をしていない会社の家は、実際どうなるのか?
これは、実際に気密測定を専門にしている測定士の方から聞いた話です。「高気密住宅」を謳いながら、それまで一度も気密測定をしたことがなかったある工務店が、初めて測定を行ったところ、C値が1.5という結果になりました。その場に立ち会っていた施主の方は、その数値を見て言葉を失い、崩れ落ちてしまったそうです。
これが、C値に基準がないことの怖さです。測定していなくても、「高気密です」と説明すること自体は誰にでもできてしまいます。 逆に言えば、実際に測定して、その数値を公開できる会社かどうかが、性能への向き合い方をそのまま映す鏡になります。

全棟測定と一部だけの測定、どちらを信じるべきか
「全棟測定」と「一部だけ測定」で何が違いますか?
気密性能は、断熱材の仕様のような「図面で決まる性能」ではありません。現場でどれだけ丁寧にテープや気密シートを施工したかで、1棟ごとに数値が変わります。 だからこそ、モデルハウスや過去の1棟だけを測定して「うちは高気密です」と説明するのと、建てる家ごとに全棟測定して結果を残すのとでは、意味がまったく違います。
全棟測定を行っている会社は、悪い数値が出ても隠せません。 そのプレッシャーの中で数値を維持し続けているという事実そのものが、施工品質の証明になります。
▶ 気密測定の実際の様子と数値は、YouTubeでも毎回公開しています。 https://youtu.be/fzOwRAQ968o?si=jQKaN7B1Q1HSlfTg
「性能は、できていて当たり前」という考え方
弊社では、新築住宅を全棟、第三者機関による気密測定にかけています。 社内の合格基準はC値0.3以下と定めており、これまでの実績で0.4を超えたことはありません。
こう書くと自慢のように聞こえるかもしれませんが、伝えたいのはそこではありません。弊社のお施主様は、この数値を見ても驚きません。 「できていて当たり前」だと、打ち合わせの段階からお伝えしているからです。冒頭で紹介した「C値1.5に崩れ落ちた施主」のエピソードのように、性能が引き渡しの段階で初めて分かる、という状態そのものが本来はおかしいのです。
気密性能は、契約前に確認できるし、確認するべきものです。 「うちは高気密です」で終わらせず、実測の数値まで聞いてください。
ちなみに高気密になるとこんな現象が起きます → https://www.instagram.com/reel/DbmHsXlhiNe/

契約前に、これを聞いてください
C値には国の基準がないからこそ、測定しているかどうかが会社の姿勢を映します。全棟測定しているか、第三者機関か、実測の数値まで公開できるか。この3点を聞くだけで、気密への向き合い方がかなり見えてきます。
- 「気密測定は全棟行っていますか。それとも一部の棟だけですか」と聞く。モデルハウス1棟だけの数値では意味がない
- 「測定は第三者機関ですか、自社ですか」と聞く。第三者機関のほうが数値の信頼性が高い
- 「実測の平均C値と、一番悪かった数値を教えてください」と聞く。良い数値だけを見せる会社もあるので、両方を聞く
高浜市・西三河で気密を考えるときに
高浜市・碧南市・刈谷市をはじめ西三河エリアは、夏の湿度が高く、蒸し暑さが体感の快適さを大きく左右する地域です。気密性能が低いと、せっかく高性能なエアコンや換気システムを入れても、隙間から湿った外気が入り込み、効率が落ちてしまいます。気密は断熱とセットで初めて機能する性能なので、どちらか一方だけを強調する説明には注意してください。
まとめ
「高気密です」という言葉には、実は何の裏付けもいらないという事実を、まず知っておいてください。C値に国の基準がないからこそ、測定して数値を公開している会社かどうかが、そのまま性能への向き合い方を表します。全棟測定しているか、第三者機関か、実測の数値はいくつか。この3つを契約前に聞くだけで、見えてくるものがあります。
気密性能について、他社さんから聞いた説明の内容について迷われている場合も、遠慮なくご相談ください。実際の測定結果を含めてご説明します。
■ この記事を書いた人
前田 浩貴(まえだ ひろたか) 有限会社 IN THE HOME 代表 / 1級建築士・1級建築施工管理技士・2級土木施工管理技士
愛知県高浜市で注文住宅の設計・施工を手がける。営業任せにせず、建築士である自身がヒアリングから設計、現場管理までを一貫して担当。設計した人間がそのまま現場を見るため、図面通りに建てられることを何より大切にしている。規格住宅ではなく、一邸ごとに暮らしに合わせて一から設計するスタイル。YouTube「1級建築士 まえちゃんの家づくり教室」で家づくりの本音を発信中。
施工エリア:高浜市・碧南市・刈谷市・安城市・西尾市・知立市・岡崎市・半田市・大府市・東浦町・常滑市ほか西三河/知多エリア
家づくりの本音や現場の様子は、YouTube・Instagramでも発信しています。
▶ YouTube「1級建築士 まえちゃんの家づくり教室」 https://www.youtube.com/@inthehome
▶ Instagram @in.the.home(会社アカウント) https://www.instagram.com/in.the.home/
▶ Instagram まえちゃん|家づくりを丸ごとサポートする建築士(個人アカウント) https://www.instagram.com/maechan.no.iezukuri/
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