「うちは耐震等級3相当です」。この説明、そのまま信じていませんか。「相当」という2文字は、単なる言い回しの違いではありません。地震保険の割引額という、目に見えるお金の差に直結します。この記事では、耐震等級3の「相当」と「本物」で何が違うのか、契約前にどう見分ければいいのかを、設計から現場管理まで手がける1級建築士の立場から解説します。
そもそも「耐震等級3相当」とは何か
「相当」と「認定」で、何が違うのですか?
耐震等級は、品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)に基づく制度です。正式に耐震等級3を名乗るには、登録住宅性能評価機関の審査を受けて「住宅性能評価書」(設計住宅性能評価書・建設住宅性能評価書)を取得する必要があります。
一方「耐震等級3相当」は、この第三者機関の審査・認定を受けていない状態を指します。会社が自社の計算に基づいて「うちの基準なら等級3に相当します」と説明しているだけで、公的な証明書は存在しません。
ここで大事なのは、「相当だから性能が低い」と単純に決めつけないことです。問題は性能そのものより、その性能を客観的に確認する手段があるかどうかにあります。

「相当」を名乗る会社には、2つのパターンがある
きちんと計算した上での「相当」と、自称だけの「相当」はどう見分けますか?
「耐震等級3相当」という同じ言葉の裏には、まったく違う2つの実態が隠れていることがあります。
- パターンA:計算はしているが、申請していないだけ — 許容応力度計算まで行い、社内的には等級3の基準を満たしていると確認済み。ただし第三者機関への申請費用(数万円〜十数万円)と手間をかけていないだけのケース
- パターンB:そもそも個別の構造計算をしていない — 「うちは頑丈な工法だから」「経験上大丈夫」といった感覚的な説明で、壁量計算すら1棟ごとに行っていないケース
「その根拠になった構造計算書を見せてもらえますか」と聞いてください。パターンAならすぐに図面や計算書が出てきます。 パターンBだと、根拠となる書類がそもそも存在しないので、話をはぐらかされるか、別の説明に変わります。
一番はっきり違いが出るのは、地震保険です
地震保険の耐震等級割引は、「相当」でも受けられますか?
ここが、この記事で一番お伝えしたいポイントです。
地震保険には耐震等級に応じた保険料の割引制度があり、等級1で10%、等級2で30%、等級3で50%の割引が設定されています。ただしこの割引を受けるには、品確法に基づく「建設住宅性能評価書」「設計住宅性能評価書」、またはフラット35Sの適合証明書など、公的な証明書類の提出が必要です。
つまり、「耐震等級3相当」を自称しているだけで証明書がない場合、この割引を受けられない可能性が高いということです。実際に何%の扱いになるかは保険会社や商品によって細部が異なるため、契約前に加入予定の保険会社・代理店へ直接確認することをおすすめします。ここは思い込みで進めず、必ず一次情報を確認してください。
30年間家を持ち続けることを考えると、この割引の有無は数十万円単位の差になり得ます。「相当」という言葉のコストは、思っている以上に大きいのです。
契約前に、これを聞いてください
「相当」という言葉自体を否定する必要はありません。大事なのは、その根拠を確認できるかどうかと、地震保険の割引に使える証明書があるかどうかです。この2点を聞くだけで、会社の姿勢がかなり見えてきます。
- 「耐震等級3の根拠になった構造計算書を見せてもらえますか」と聞く。壁量計算か許容応力度計算か、どちらのルートかも確認する
- 「住宅性能評価書は取得できますか。費用はいくらですか」と聞く。取得しない場合は、その理由も聞いておく
- 「地震保険の耐震等級割引には、この家は対応できますか」と聞く。曖昧な返事しか返ってこない会社は要注意

高浜市・西三河で耐震を考えるときに
高浜市を含む西三河地域は、大規模地震対策特別措置法に基づく「地震防災対策強化地域」に指定されています。南海トラフ地震が発生した場合、県の被害想定では西三河の広い範囲で震度6強以上、地域によっては震度7に達する可能性があるとされています。
また1945年には、幡豆郡(現在の西尾市周辺)を中心に三河地震(マグニチュード6.8)が発生し、死者2,306人、全壊家屋7,221棟という被害を出した記録があります。この地域は、遠い将来の話としてではなく、実際に大きな地震を経験してきた土地です。
だからこそ、耐震等級は「なんとなく安心そうな数字」ではなく、根拠を確認できる形で備えておく価値があります。地盤の条件は土地ごとに異なるため、地盤調査の結果と合わせて、構造計画を確認することをおすすめします。
まとめ
「耐震等級3相当です」という説明を聞いたら、まず「その根拠になった計算書を見せてください」と聞いてみてください。それだけで、きちんと計算した上での「相当」なのか、自称だけの「相当」なのかがかなり見えてきます。そして、地震保険の割引に使える証明書があるかどうかは、必ず契約前に確認してください。数十年住み続ける家だからこそ、「相当」の中身を曖昧にしたまま契約しないことが大切です。
耐震等級の根拠や証明書について、他社さんで進めている計画のご相談も承っています。図面や説明資料をお持ちいただければ、一緒に確認いたします。
■ この記事を書いた人
前田 浩貴(まえだ ひろたか) 有限会社 IN THE HOME 代表 / 1級建築士・1級建築施工管理技士・2級土木施工管理技士
愛知県高浜市で注文住宅の設計・施工を手がける。営業任せにせず、建築士である自身がヒアリングから設計、現場管理までを一貫して担当。設計した人間がそのまま現場を見るため、図面通りに建てられることを何より大切にしている。規格住宅ではなく、一邸ごとに暮らしに合わせて一から設計するスタイル。YouTube「1級建築士 まえちゃんの家づくり教室」で家づくりの本音を発信中。
施工エリア:高浜市・碧南市・刈谷市・安城市・西尾市・知立市・岡崎市・豊明市・半田市・大府市・東浦町ほか西三河/知多エリア
家づくりの本音や現場の様子は、YouTube・Instagramでも発信しています。
▶ YouTube「1級建築士 まえちゃんの家づくり教室」 https://www.youtube.com/@inthehome
▶ Instagram @in.the.home https://www.instagram.com/in.the.home/
▶Instagram まえちゃん|家づくりを丸ごとサポートする建築士 https://www.instagram.com/maechan.no.iezukuri/
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